141 6 Hamburger Sinfonien, Wq. 182
リッカルド・ミナーシ(指揮) アンサンブル・レゾナンツ
Riccardo Minasi (conductor) Ensemble Resonanz
(上記リンクから音源に飛びます。)
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元々トン・コープマン指揮だったものが、来日が叶わなくなってしまい代役となったものでしたけども(プログラムは真ん中のC.P.E.バッハのチェロ協奏曲のみが変わった形)ですけどもこれが大変楽しく、聴き応え満点。これが初顔合わせとは思えない演奏会となり、大変満足して帰路につきました。
このブログでは何回か鈴木秀美さんの名前が登場しておりますけども、私がはじめて聴いたのは2011年の山形交響楽団でのこと。
そのときはシューベルトの1番に、ハイドンの100番「軍隊」でした。
この時どちらの音楽も大変面白くって、特に「ハイドンってこんなに愉快な音楽を奏でるんだ!」と感激したことがきっかけでそれから半ばおっかけ(は言いすぎかも知れませんけども)のように秀美さんの演奏会を聴きに行っています。
※この時の演奏はCDになっております。もし良かったらどうぞ。
それで鈴木秀美さんご自身で率いる”オーケストラ・リベラ・クラシカ”(以下OLCと略)はじめ、あちこちの客演を聴きましたけれども、N響の何が驚いたかと言うと、「恐らく普段のN響サウンドを生かしたまま作曲者のリスペクトが感じられた」ことにありました。
いわゆるピリオド・サウンド(ビブラートを極力かけない演奏)とも少し違う、でもアグレッシブなところは攻めつつ、いわゆるOLCで見せるようなガット弦のシャープさが牙をむく古楽的なサウンドのビビットさとは異なる美しさもあり、しかもそれはそれで説得力があるというのは中々凄いな、とびっくりしたのでした。(今回N響では初のナチュラル・ホルンを採用というのも驚きました。…でも山響だともう10年前には取り入れられていましたけどね!時代が追いついたかな?)
N響の舞台でナチュラル・ホルンが用いられたのは今回が初めて!📯
— NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo (@NHKSO_Tokyo) September 15, 2021
そして大バッハの息子、カール・フィリップ・エマニュエル・バッハの作品をN響が演奏したのは、草創期の1936年に《チェロ協奏曲第3番》を伝説のチェリスト、フォイアマンの独奏で演奏して以来、今回が2度目のことでした! pic.twitter.com/p5JD0Cwu3C
でもそんなN響ですら、ヨハン・セバスチャン・バッハの次男、カール・フィリップ・エマニエル・バッハの楽曲をとりあげるのは85年ぶり!ということらしくて大変驚きました。いえ、多分このブログ、恐らく(ご家族一同のものも含め)カール・フィリップ・エマニエル・バッハを一番取り上げてますからね😂彼、そんなマイナーだったのか…。
多くの聴衆が度肝を抜かれただろう、シンフォニア変ロ長調(2曲あったうちの1曲)はこの「6つのシンフォニア」の2番めにあたります。一度全曲お聴きになってみて下さい!疾風怒濤の表現さながら、とにかく畳み掛ける音形は、他に中々ないような気がします。
6つのシンフォニア Wq.182(1773年)弦楽のための交響曲ト長調 Wq.182-1弦楽のための交響曲変ロ長調 Wq.182-2弦楽のための交響曲ハ長調 Wq.182-3弦楽のための交響曲イ長調 Wq.182-4弦楽のための交響曲ロ短調 Wq.182-5弦楽のための交響曲ホ長調 Wq.182-6
それでN響での定期演奏会は大バッハ(お父さん)の組曲第3番(G線上のアリアが含まれています)→息子のC.P.E.バッハの怒涛のシンフォニア2曲(もう1曲はWq183-1)→ハイドン交響曲98番というプログラムでしたけども、この間60年。スタイルの変遷というよりも音楽の歴史そのものを旅するような、バロックから古典派へのタイムトラベルを、私達は冴えた音楽とともに行き来したような気分となりました。
途中のC.P.Eバッハの曲目を差し替えることでより明快に、「音楽も当然のことながら、歴史上の繋がりがあるんだなぁ…」と考えさせるプログラムとなったと思います。
というのもハイドンの98番はどこかベートーヴェンにも通じるなと思ったら、なんとこの楽譜は長いことベートーヴェンが持っていたのだとか!研究されていたんでしょうか。第2楽章はモーツァルトと関係があるようですし…。(彼の死を悼んでモチーフにしているという話)
また鈴木秀美さんはよく「ハイドンをプログラムに入れるとお客さんが入らない」とジョークと本音?の入り混じったトークをされているのですけども、このN響は元々最初からハイドンがメイン・プログラムでした。
なのでN響さんには心からお願いしたいのですけども、是非鈴木秀美さんの再登壇と、どうか、「オール・ハイドン・プログラム」を…N響ならばそれでもお客さん入るでしょうし😂聴いたことのない交響曲でもきっと愉しませて下さるでしょうし、それは聴衆にとって新たな音楽の発見となると思いますから…。
勿論カール・フィリップ・エマニエル・バッハ再登場でも全く構いません!!シンフォニア全曲だったら泣いて喜びます😂
どちらにせよ本当、宜しくお願いいたします。
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